呟き:「結婚」の類意語(新語)導入は、社会的混乱の回避策になる?
『結婚』と『婚姻』とは同意語のようだが、学術的、法概念的には『婚姻』が主体的に用いられているようだ。
意味的には、『結婚』とは”男女間の配偶関係の締結”を意味し、『婚姻』とは”男女間の配偶関係の締結”に加えて”配偶関係の状態”も含まれるらしい。
近年、従来から意味する『結婚』ではないが、類似形態故に「結婚」という概念に包括を…と願う動きが活発化し、社会に混乱を招いている。
主たる原因は明白だ。新たな形態を意味する「新語」が存在しないが故に既存語に包含させようとすることにある。不自然さ故の正当な異論に対しても、批判は「人権」抑圧だとの反論を招きかねず、止むなく異論を胸に納める場合も多々あろう。
不可解な世になってきたものだ…
明治の人々は、洪水のように次々と押し寄せる外国語に日本語訳の新語を造ってきた。
現代の国語学者や各分野の専門家諸氏はなぜ傍観者を決め込んでいるのだろうか。
外来語には新漢字表記を常識化させたいものだ。
「結婚」、「性」についても混乱が生じている。
凡人ながらも社会の混乱や戸惑いを整理しつつ考えてみた。
1.異性同士の「結婚」
(1)生命の営み
この世に生きる生き物の大半は、男(雄)と女(雌)という二つの異なる性のいずれかを有する。
万物創造の神様設計図による創造の証か、ダーウィンの進化論による結果か、確かに二つの性が存在する。
二つの性の営みにより、古来より、仲間の生命が脈々と受け繋がれてきた結果が現在の姿である。
(2)「結婚」に対する現在の理解
人間社会では、生命を受け継ぐ証として、社会は「結婚」という形式を受け入れてきた。
古来より、「結婚」とは、男性と女性との一組の生活共同体を意味する。
現代では、「結婚」は法の下に婚姻届を提出受理された男女の一組で、新たな義務と権利が生じる。
結果、通常なら、女性は双方の遺伝子を受け継ぐ子供を授かる。
故に男女の結婚は、子孫を残すという人類の永続的繁栄に直結する。
言うならば、「人類繁栄推進論者の証」ともいえようか。
2.「結婚」からの逸脱
近年、男女間の「結婚」とは異なる、新たな組合わせの一組が、従来の「結婚」と社会的にも同一視を…と主張する人々の存在で、「結婚」の定義が揺れている。
(1)現状への波乱要因
これまでに広く社会に浸透していた「結婚」の概念とは異なる新たな『男性同士』、『女性同士』の”結婚”らしき新たな生活形態の対応についてである。
このような似て非なる事象に、補足説明無くして正確に意味を伝達可能な”単語”が存在せず、近似する状況故に既存語(=結婚)を当てはめて既存語の定義拡大を図ろうとし、この考え方にはこれまでの社会システムに歪みを伴う。
また、この新たな組み合わせは既存社会構成の要因では無く、違和感なしでの既存社会体制への新たな取り込みとは次元が異なる。
現代の法は、「結婚」という節目を経て成人した男女の新たな一組を法により支援しているが、従来からの社会構成では同性婚という概念がなく法整備の必要性は皆無だった。
だが、同性”婚”という新たな組合わせ一組が、社会認知、新語導入、法整備を強く要求し始めた。新たな社会構造の誕生に伴う法整備の遅れによる矛盾や公正性の是正問題の存在である。
(2)新概念の必要性
言葉とは、特定の対象や現象を指す言葉として生まれた用語であり、後年、新たな概念を強引に包含させるには深刻な混乱を来す恐れが多分にある。
故に、同性”婚”については「結婚」との混同使用は避けて、社会的に新たな体制を構築し、従来システムとの併存を図るような新たな社会システムが再整備されるべきではなかろうか。
よって、新たな概念の事象に対しては、新概念に相応しい新語を新たに造語すべきである。
以下に、新語を含む概念を包括的に図示してみた。
3.同性一組の妥当な表現は「同婚」…?
以下に示すパターンにより、換言すれば、次世代へ子孫を残せるか否かで、異性同士の組合わせは『人類繁栄推進論者』であり、同性同士の組合わせは『人類滅亡推進論者』である、とも言えようか。
だが、いずれの組み合わせでも、当該者の希望を叶えた「自己願望達成者」である、とは言えようか。
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(新語:A案)
従来からの「結婚」に類似した”新語”を導入する。
・男女の「結婚」⇒ 定義不変。
・他の組合わせ(男性”婚”、女性”婚”)
⇒ 「新語」導入で対応。 ……………(以下、新語は赤字で)
社会的混乱小か。
社会的容認態勢、法整備等の新構築が必要。
Ⅰ.性転換施術有無による男女の呼称
1)性転換施術なし
・親女性(親女)………………”戸籍性”に違和感を持つ男性
・親男性(親男)………………”戸籍性”に違和感を持つ女性
2)性転換施術あり
・擬男性(擬男)………………性転換施術後の新生”男性”(元女性)
・擬女性(擬女)………………性転換施術後の新生”女性”(元男性)
※他の候補字:誕、新、到、産…等。
Ⅱ.成人一組の呼称
1)共同日常生活あり
(1)「婚姻」の定義 ………該当用語不存在故に法整備が必須。
合婚……………………結婚+同婚 ……………婚姻形態の総称
↘①結婚………異性婚(=夫婦)…………男性と女性との婚姻(定義不変)
↘②同婚 ……… 男婚、女婚 ……………同性婚の総称
↘a.男婚……………男性同士の婚姻(=同心)
↘b.女婚……………女性同士の婚姻(=同心)
(2)子供の呼称
①自然出産児:自然妊娠・自然分娩・自然出産した「自然出生児」
②人為出産児:人工妊娠・人工分娩・人工出産した「人工出生児」
・輸子(ユシ):精子と卵子ともに遺伝的に親と一致する人工授精児
・叉子(サシ):精子又は卵子の一方が遺伝的に親と異なる人工授精児
2)婚姻と新生児の相関性
<婚姻> <子供>
「 結婚 ………………(夫婦)⇒実子……血縁有
| 輸子……人工授精子
| 叉子……人工授精子
| 養子……血縁無
①婚姻届提出….…合婚=| 「 男婚……(同心)⇒養子……血縁無
| 同婚= | 叉子……人工授精子
| | 女婚……(同心)⇒養子……血縁無
∟ ∟ 叉子……人工授精子
②婚姻届非提出……共婚(接婚)………婚姻届非提出の一組。
当人達の意識で成立する関係。
同棲 ………双方の同意で成立する共同生活形態。
婚姻関係の意識不問。
同居 ………主たる生活維持者を中心に老若男女が過ごす
共同生活形態。
下宿(寄宿)………ビジネス契約下での関係。
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(新語:B案)
「結婚」の”定義変更拡大”を広く社会に求める。
ただし、概念が大幅な変更を伴うために、社会的混乱必定か。
1.婚姻届提出 → 結婚 = 異婚 + 同婚 (男婚 or 女婚)
⇅ ⇅ ⇅
(呼称) 夫婦 同心 同心
↓ ↓ ↓
(子供)……血縁有 →→ 実子 叉子 叉子(人工授精子)
輸子 ー ー
叉子 ー ー
……血縁無 →→ 養子 養子 養子
2.婚姻届非提出 → 共婚(or 接婚)
3.単なる共同生活 → 同棲
古来より、時代と共に時代を反映しながらゆっくりと変化し続けているニッポンの国語『日本語』も、近年、多量に流入する外来語の日本語化への対応が完全に立ち遅れているようで、カタカナ表記語のオンパレード… 文体は、文章を読めるが意味不明…
日本語の”審議会”関係諸氏はどのように感じて、どのように対応しているのだろう…
近年の晩婚化、婚姻、人工授精、性転換施術、環境汚染…等々で人間社会の構成もヒトという種の保存法則も一層多様化し、複雑化してきた。
だが社会システムの対応が遅れ気味のようで、これまでの社会的観念では対応できない事例への新たな法整備を含めて、ここに一案としての私案を提示してみた。
今後の議論の叩き台にはなるだろう…
ここで、議論を深める上で忘れてはならないのが生物学的現象である。
ヒトも動物。特に生殖行為では動物は本能で行動するが、ヒトは理性下に行動するために、近年は晩婚化、高齢出産の傾向にある。ところが卵子も精子も高齢化に伴って健常性が低下し、健常児出産確率低下リスクが高まる点であろう。成長につれて誕生性への違和感が増す人達との因果関係も解明が待たれよう。
社会的な混乱・困惑を解消するためにも、これを機に議論が活発化することを期待したい。
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(新語:婚姻に至らない性的指向)
「LGBT」
※ LGBT:レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)の性的指向3つと、身体の性と自認する性の同一性に違和感を有するトランスジェンダー(Transgender)の英字頭文字を並べた、性的多様性を有する集団を意味する用語。
他にも、幾つかの異なる表現が存在する。
L、G、B自体も、定義が流動的で、的確な用語として定まっていないようである。
これらの自己の性的認識が多数の一般的な認識と異なる少数者を正確に表現する「新語」が必要と考えられるが、「婚姻」とは少々異質な分野となるので、ここでは割愛する。
別の機会に、議論を深めて、新たな漢字表記の適切な日本語が誕生すれば幸いである。