呟き:原発OK? 汚染水海中投棄OK? 自然界の状態はどうなってる…?
原発稼働問題、放射性汚染物廃棄問題…
まるでエンドレスのように何年も繰り返されているこの問題…
賛成の方、その根拠は…?
反対の方、その根拠は…?
賛否を考える前に、先ずは自然界の放射性物質の事実を知っておくべきでは…?
比較的身近な項目について整理してみた。
自然界に存在する天然の元素は92種類。放射線を発する同位元素も多い。
放射性元素が放出する放射線と半減するまでの期間を下表に示した。
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トリウム232 α β γ 141億年
ウラン238 α β γ 45億年
カリウム40 β γ 13億年
ウラン235 ? 7億年
プルトニウム239 α γ 2.4万年
炭素14 β 5700年
セシウム137 β γ 30年
ストロンチウム90 β 28.8年
トリチウム β 12.3年
コバルト60 β γ 5.3年
セシウウ134 β γ 2.1年
ヨウ素131 β γ 8日
ラドン222 α γ 3.8日
タリウム201 ? 73時間
ナトリウム24 β γ 15時間
テクネチウム99 ? 6時間
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核爆発で生じるプルトニウム239の量が半減するのは24,000年後となる。
ストロンチウム90では28.8年後に、トリチウムは12.3年後に半減する。
例えば、放射性ウラン238が放射線を出さない安定元素の鉛206に減衰するまでの間に、多くの放射性元素に変化する。安定元素までの減衰反応時間は宇宙誕生からの経過時間の約1/3に匹敵する。
〘放射性 「ウラン238」 ⇒ ⇒ ⇒ 安定元素 「鉛206」の自然崩壊と崩壊時間〙
ウラン238(半減期44.7億年)⇒ トリウム234(24.1日) ⇒ <プロトアクチウム>
⇒ ウラン234(24.6万年 )⇒ トリウム230(7.5万年)⇒ ラジウム226(1600年)
⇒ ラドン222(3.8 日)
⇒ ポロニウム218(約3 分) ⇒ アスタチン218(1.5秒)
⇩ ⇩
鉛214(約27 分) ⇒ ビスマス214(約20 分)⇒ タリウム210(1.3分)
⇩ ⇩
ポロニウム214(約1.6× 10-4 秒) ⇒ 鉛210(約22 年 )⇘
⇩ ビスマス210(5 日 )
タリウム206(4.2分) ⇐ 水銀206(8.2分) ⇩
⇩ ポロニウム210(約138 日)
⇩ ⇩
↳ 鉛206(安定) ↲
3)当初量が1%未満に減少するまでに必要な半減期の回数
当初量=100 → ①50 → ②25 → ③12.5 → ④6.25 → ⑤3.125 → ⑥1.5625 → ⑦0.78125
※即ち、半減期の7倍の時間経過で当初量の1%未満に減少する。
つまり、半減期の7倍以上の時間経過で、当初量が1%以下にまで減少する。
例えば、トリチウム(半減期:12.3年)は、約86年後に現在量の1%未満に減少する。
ここで大切な点は、放射線量が半減する「半減期」の長短ではなく、放射線量が自然界レベル以下にまで減衰するまでの「期間」である。
広島への原爆投下、長崎への水爆投下は1945年であり、ビキニ環礁等で20回以上も繰り返された原水爆実験は1946~1958年だった。その後、現在までの時間経過は78~65年である。人体への無害化減衰期間には到底及ばず、自然界に放出された放射性元素の大半は気流や水流、風等の影響を受けながらどこかに滞留、沈着しているハズ…
2.自然界のからの被曝放射線量
同じ地球上であっても、地域により自然界から浴びる放射線量は異なっている。
1)日本 (単位:mSv)
・年間平均…………………………………… 2.1 ⇔ 自然界から浴びる放射線量
(内訳)宇宙から………………… 0.3
空気中ラドンから……0.48
食物から………………… 0.99
大地から………………… 0.33
・参考 (単位:mSv)
世界平均(年間)……………………………………………………… 2.4
航空機搭乗中(東京⇔ニューヨーク;往復)……………0.11~0.16
人工放射線量:胸部CTスキャン(1回)……………… 2.4~12.9
2)1時間当りの自然被曝線量 (単位:μSv/時)
国際宇宙ステーション内…………………………20.8~41.6 ⇐ 多い
航空機搭乗中(東京⇔ニューヨーク)………7.4
ケララ(インド)……………………………………… 1.05
三朝温泉…………………………………………………… 0.11
富士山頂…………………………………………………… 0.10
岐阜県…………………………………………………………0.057~0.110
東京都…………………………………………………………0.028~0.079
3)大地から受ける放射線
※放射線が高い地域は、土壌中にラジウム、トリウム、ウラン等の放射性物質が多く含まれているため。
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nGray/時 mSv/時
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ラムサール イラン 765 4.7
オルビエート イタリア 560 3.4
陽江 中国 370 2.3
:
:
日本 50.9 0.3
<最高地(岐阜)と最低値(神奈川)と差は0.4mSv/年>
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4)日本在住者の自然被ばく線量(mSv/年)
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*外部被爆
宇宙線 0.3
大地放射線 0.33
*内部被爆(吸入摂取)
ラドン222 (屋内外) 0.37
ラドン220(トロン)(屋内外) 0.09
喫煙(鉛210、ボロニウム210等) 0.01
その他(ウラン等) 0.006
*内部被爆(経口摂取)
主に鉛210、ボロニウム210 0.80
トリチウム 0.0000082
炭素14 0.01
カリウム40 0.18
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合計 2.1
ラドン温泉の入浴経験って多くの方が経験済みかと… 実は入浴中、呼吸する間に放射性ラドンを吸入していたンです。
※ ウラン系列:
(土中)ウラン233 ⇒ ラジウム226 ⇒ ラドン222……(空中)半減期3.8日
⇩
吸入
※ トリウム系列: ⇧
(土中)トリウム232 ⇒ ラジウム224 ⇒ ラドン220……(空中)半減期約55秒
6)体内に存在する放射性物質
食事中にも、放射性同位体を食べ物の構成成分の一つとして胃袋に入れている。
※ 種類:
ボロニウム213、 ボロニウム214 トリチウム 他
※ 放射性カリウム40:
生物に必要なカリウム元素は、総カリウム量の0.01%がβ線とγ線を放出する放射性カリウム40である。
※ 水素:
水素同位体元素は、安定同位体の「水素」、重い「重水素」、放射性の「トリチウム」があり、水に含まれるトリチウムの含有量は、日本全国平均で、約1Bq/㍑とされる。
3.放射性物質の処分問題
自然界における天然の放射性物質について身近な項目を整理してみた。
一瞬で消滅するほど短時間の核種もあれば、地球時間に匹敵するほど半永久的に長命な核種もある…
原発由来の放射性汚染水から除去不可能なトリチウム汚染水の海中投棄の妥当性が議論されているが、自然界でのトリチウム含有率、自然減衰、海水による希釈率や拡散等々は重要な判断材料か…
放射性汚染物の廃棄処分方法を検討するには、放射性元素の自然減衰期間とそれに見合った廃棄場所の長期的な地盤安定性が重要であろう。
上述のように、放射線量が1%未満に減少するには半減期の7倍の時間が必要だが、大陸が移動、衝突、消滅、隆起を繰り返すほどに長い時間であり、対応する期間の間も安定な地盤はこの地球上に存在しない。
つまり、地球上には長い半減期の核種を廃棄処分できるような安定した地盤の捨て場所が存在しないのである。
諸懸念を解消するために待たれるのは、放射性元素の安定元素への質量変換技術の確率であろう。
だが、どこまで検討が進んでいるのやら…
この技術開発が不可能なら、核弾頭や原発核燃料、汚染廃棄物を、ゼッタイに打ち上げを失敗しないロケットに乗せて太陽に打ち込むしか方法がないかも…
放射性汚染物の廃棄処理問題は、難問中の難問…
放射性元素の、このような自然の動きを知ると、人それぞれに多様な受け止め方がおありかと…
※<主な参考資料> ………… 科学の進歩に伴い、情報の陳腐化もあり得る。 …………
・環境省(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1s-01-6.pdf#search=%27%E8%87%AA%E7%84%B6%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E9%87%8F%27)
・国連科学委員会(UNSCEAR)2008年報告、 原子力安全研究協会「新生活環境放射線(平成23年(2011年))」、 ICRP103、 他
・JAXA宇宙ステーションきぼう広報・情報センターサイト「放射線被ばく管理」2013、 放射線医学総合研究所ホームページ「航路線量計算システム(JISCARD)」、 放射線医学総合研究所ホームページ「環境中の空間ガンマ線線量調査」、 古野. 岡山大学温泉研究所報告. 51号. p.25-33. 1981、 原子力規制委員会放射線モニタリング情報(モニタリングポストの過去の平常値の範囲)
・市民放射能測定データサイト みんなのデータサイト「放射能の基礎知識」
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